其の十 「イザ」の巻



予約制・高校生以上のみ入場可のからくり屋敷
「二條陣屋 小川家住宅」
からくりに少々うかれていたのだけれど
10名ほどの定員制
手荷物を置いて、こちらへ進み、はいお座り下さいとは
ただならぬ様子
一個人の持ち物であり現在も住居
しかと見学させていただきますという感じ
説明を聞きながらのからくり見学に
「はぁ〜」
「ふぇ〜」
「ほぉ〜」
手品ではないけれど
この説明振りもまた一芸というかなんというか
歩けば中は迷路みたいだし
お次は?お次は?と
いつになく積極的に先頭を行くわたし

からくりだけではない
敷地内には防火の為の12個の井戸
お能の間には段襖
茶室には数センチの床の間
屋形船の様な二階の間
明治時代の滑車付の電灯
至る所のあかり窓
ただただ感心するばかり

いざという時は殿はここから逃げ
いざという時はここから二条城と連絡を
いざという時はここに隠れ
いざという時は井戸に貴重品を沈め
いざという時は武者溜りから人が下りる
「イザ」
という時はあったのだろうか
からくりの秘密は守られていたのだろうか

終わりには自然と
「ありがとうございました」
と言う言葉が出ました


『二條陣屋』にて