其の六 「イカンイカン」の巻



宿のある東山三条をふらふらと散歩がてら進む
知恩院へ向かう途中
開店前の「古川町商店街」をぬける
静けさの中いつもと変わらぬ様子での支度
それぞれの店の無言の「おはよう」がつづく
旅先なのに日常を味わっている感じだ
いいな商店街

うす曇りのなか知恩院へ
お寺だからビックリする事ではないんだけれど
お葬式だ
某タクシー会社会長の社葬
豪華である
その為かは分からぬが本堂からはお経が響く

七不思議やら鶯張りの廊下に
すこし観光気分を取戻す
ホーホケキョが「法を聞けよ」とはまたよく言ったものだ
方丈庭園あたりでポツポツと雨
知らぬ間に障子が閉められ、屋根からも少し雨が滴る
足早に庭を後にし、本堂前に戻ると雨はやんだ

お葬式がそろそろ始まる様子で
本堂から阿弥陀堂への渡り廊下を
忙しそうに小走りするお坊さん
次から次へと
坊さん、坊さん、坊さん
これが何故か可笑しくてたまらない
「イカンイカン」
と思いつつ又靴を脱ぎ
同じ渡り廊下を歩いてみる私
「可笑しくない」
お坊さんじゃないもの

円山公園をぬけ八坂神社へと向かう
朝から目指していたのは本当はこの先
「鍵善良房のくずきり」
なんである




本堂のまわりの廊下は何故かこんなに節だらけ
とりあえず気持ち良いので踏んで歩く


『知恩院』にて