5/16 「GUMMO」「a,b,cの可能性」おフランス行きたいザンスの巻


マサ子:高校時代突然友人に家に押しかけられて、なんじゃいなと思いながらもそれなりに楽しく時間を過ごしたあと日がくれるころになって「いいものをみせる」をビデオを出してくるのでAVかなんかかと思ったらめぞん一刻のビデオだった、という素敵な経験を持つMさんにきいたところ、「エドガー・ポーツネルは今年で259歳」(*1)だそうです。うーん、人間みなオタクかい! それはそれとしてトップ絵に注目しましょう。いやぁー、人間まだまだ捨てたもんじゃないね! 愛を受け取るのが下手だった幼いころの傷が癒されていくような感じがするよ。

サブ子:こらこら、ここはFPOEM(*2)じゃないよ。そういう下卑て腐れた媚びの文句はあそこでやんなさい。みんな優しいから。今日のテーマは、映画! つってもしょせんビデオだが。「GUMMO」、「a,b,cの可能性」、「ミツバチのささやき」と、今週はよくみましたねえ。今週はーつうか、普段ぜんぜんみないのにどうしたんでしょう。それほどひまだったってことでしょうか。いいえそれもそうですが。内輪ネタですいませんが、ちょっと〆切まで思いもかけずひまをもらったんで、よっしゃ、吸収したろ! と思ってみたのです。役に立ったのは「ミツバチのささやき」だけでした。

マサ子: まずは、「GUMMO(ガンモ)」。この人(監督)さぁ、まゆなし女好きだよね(笑)。あとやせっぽち女。「キッズ」はまあ処女マニアのお話でもありますし、やせっぽちでもさもありなん、なんですが、「GUMMMO」。あいかわらずまゆなし女だしてくるね、これはなに、アメーリカーの流行りなんかい、と思ってみてたら、剃らせやがったよ! デブ女に! まゆを! ちょっとよかったっすねあそこ。あーゲージンは彫りが深くてまゆなし似合うからいいよなー、日ノ本ジャポネスがまねしたらよく言っても宗教上の理由としか思われないもんな。しかし、30分ごとに猫の死骸をだしてくるのはやめてくれ! 目そむけちゃうよ! 全米猫大好き協会とかからお叱りのFAX攻撃受けないのか? そういう人たちはみてないのか?

サブ子:そんでこの人、エレメントで分けると完全に水ですね。ほら、あるでしょ? 人間を、というか作家を、火、土、水、空気、で分けるというやつ。三島由紀夫はどうやら水と火らしいですし、宮崎駿は飛ぶことばっか考えてるから空気だとかね。ほら、「もののけ姫」つまんなかったでしょ? 飛ぶシーンがないからですよ。「紅の豚」とか本気でつまんないんですけど飛ぶシーンだけはすばらしかったりね。ふつうならここで「魔女の宅急便」がでてくるんですけどたみさんあれ大好きなんでかんべんしてくれ。ラピュタ? アカでしたね(笑)。うーん宮崎、左翼だぜ。パンクだぜ。ベイビー。で、「GUMMO」。さっき言ったまゆぞりシーンにしても洗面所ですから水ですし、ラストあたりで怒涛のように水攻勢じゃないですか。きったない風呂につかってスパゲティー食べるわ、雨の中空気銃を撃つわ。「キッズ」でもなんかずーっとビール飲んでたような気がするし、それにプールのシーン、あそこだけ異様に美しかったでしょ? どうも水関係でいくとこいつすごいキレイな画をとるね。村上龍のようだ。

マサ子:あとシェークスピアとかも水らしいですね。水に浮かぶオフェーリアのシーンが美しかったとかいって。そんなんでいいのかとも思いますけどいいんでしょう。で、ひとまず置いといてだね。「a,b,cの可能性」にいきたいと思います。うーん、眠かった! だって〜登場人物多すぎて誰が誰だかわかんねんだも〜ん。ってガンモも一緒ですがあっちは誰が誰だとかそんなのどうでもいいやつですから。でもフレンチの女優さんはみんなキレイで好き。アメリカ人がいまだにフレンチコンプレックスをもってるのもわかります。ん? イギリス人だっけ? まあいいさ。それで、おフランスの映画をみてるとさ、どうも、食事に目がいっちゃうね。すっごいおいしそうなんすよどれもこれも。朝飯だーっつってなんかお椀みたいなのにいれた茶色い液体、あれ、なんなんすか? ショコラ的なもの? 食いてええーーー! やっぱフランス人文化的で優雅で典雅! アメリカだとさ、でっかいボウルにゆでた野菜てんこもりとか、ただ焼いただけの分厚い肉のカタマリとか、とにかく量はあるぞって感じの毒々しい色のマッシュポテトとか卵とかそんなんばっか! さすが「マクドナルドが国の味」(*3)の国民だけあるぜ! お前らそれでも食いもんか?

サブ子:で、おかしなことに、「GUMMMO」と「a、b,cの可能性」をくらべてみると、明らかに「a,b,c」のほうが若いって気がするんですね。いや「a,b,c」が若いというより、「GUMMMO」が年取ってるって感じがする。いや年取ってるというか……抹香臭いジジババどもに媚びてるって感じかな。あ、いえいえ、FPOEMのことではございません。「GUMMO」も「a,b,cの可能性」も、青春映画ってことでくくっちゃっていいと思うんですけど。「GUMMO」、神様はいつでもみていてくれるー、というふうに、ちょっと、日常の停滞と空虚、軽い昂揚、俯瞰、反語的二面性、って感じじゃないですか。でもそーゆーのはオカキョンが「リバーズ・エッジ」でいちど明確にしちゃったもんだと思うんすよ。……どう? なんか、むつかしい言葉を使って、かっこいいでしょ。……だから「GUMMO」には「リバーズ・エッジ」を最初読んだときみたいな感動はなかった。いやまあ画があるのでそっちみてたらいいんだが。べつに。

マサ子:対して「a,b,cの可能性」は、なんかしら意味不明な笑顔で終わるんすよね。キレーなねーちゃんの。キレーなねーちゃんの。キレーなねーちゃんの(笑)。それだけでもう寝そうだった2時間が救われたような気がするよね(笑)。これはハッピィエンドかアンハッピィエンドか、って話じゃなくて、「ハッピィエンドぶるか、アンハッピィエンドぶるか」って話なのな。長くなったんで、「ミツバチのささやき」についてはまた今度! しかし一つだけ言っておこう! 「GUMMO」と「a,b,cの可能性」をふたつみる元気があるのなら、「ミツバチのささやき」を二回みろと! それではシーユー、バイバーイ。

*1 「ポーの一族」、萩尾望都大先生。アランは死んだくさいんだけど、エドガーは生きてるでしょ? つーかメリーベルがあまりにもあっさり死んじゃって悲しい。でも死なないといけなかった。ああ耽美。  *2 ニフティーサーブ上のフォーラム。詩を愛するポエマーどもが集まる場所、のはず。  *3 リレハンメルだかのオリンピックのときアメリカのスケートの選手にこう語らせていた。「ホームシックにかかっていたのですがこれを食べて元気を取り戻しました」「世界中どこでも同じ味、マクドナルド」。あんなもんに味なんかねえよう! いや、食うけど。嫌いじゃないけど。

 


モドル