小説の言葉、小説の文体をとらえようとするとき、研究者は小説であつかわれている文体というものがいくつかの種類に分けられることに気が付く。普通小説の文体は基本的なつぎの5つの文体にわけられる。

1芸術的叙述
2語り
3書き言葉
4芸術的でない叙述
5主人公の発話

 これら5つの文体を総合的に考えるのに、1つの文体を基準に考えてはならない。考えるならばこれら5つの文体を同時に、同列にしてとらえられるようなものの考え方が望ましい。詩を下敷きにした文体の考え方の多くは、これらのなかから一つをとりあげているだけだ。