この作文は太宰治作「走れメロス」を底本としたリライトである。どのくらい書き直したか知れない。もしかしたらほとんどそのままかもしれない。ということで原作品も再読あるいは初見されることをおすすめする。
以前FBUNGAKUに掲載した、1996年のことであった。
あとがきにはこんな文章が見られれる。
夢みてたらしく、泣き濡れて朝、目がさめるなんてことはないでしょうか?メロスの一途な姿、最後のハッピーエンドのことを考えると、ぼくはいつもそういった感じで朝目が覚めるときに、必ず見るような夢のことを思い出します。
この一文は泣ける。「走れメロス」は森敦によるとモデルがあり、当時熱海で飲み明かし飲みしろがないため太宰が東京へ一人もどり金の工面をするはずだったのが、帰って来ず、熱海から命からがら逃げ出してみると太宰は井伏鱒二の家で将棋をさしていた。一同ボカン。このエピソードも泣ける。誰しも約束がまもれなかった時はあろう。
また語彙の簡潔さについてはくるさんの「PRIVATE PAIN」を参考にした。くるさんぼくたちに面白い話をありがとう。
1999 12 岡しるす
[EOF]