---->> 革命的人物の肖像 第一回
Immanuel Kant <<----

■解題■

 カントと言えば、穏健な節度を保つ律儀で道徳的な体制順応性を持つ反革命的なブルジョア的講壇哲学者にして官憲の犬であるというのが一般の通念であったが、ここのところその評価を一変させるような事態が惹起している。
 近年、人文科学の唯物論的研究の進捗は著しいが、カントについては中でもその成果が目に見えて新鮮である。その中でとりわけ注目に値するのは、カントの比較的若年の頃(いわゆる前批判期)の論文の草稿の発見である。ここに紹介するのはその一つで、一般には「形而上学的認識の第一原理」として知られているものの草稿である。
 この草稿は一七五四年に書かれ、そのまま隠蔽された。しかし、ランペという名の下僕がちり紙交換に出そうとしたところ、カントはそれを止めたとされている。カントにとって、発表こそしないものの、重要な草稿であったことが伺われるのである。

■テキスト(抄訳)■

 前書

 われわれの認識の革命的原理に革命的に解明を与えるため、私の考えたことを革命的に少ない頁数で述べることにする。私は毛の長征のごとき冗長な議論を避け、あらゆる米帝的な甘美な虚言を衣服を脱ぎ捨てるように剥奪し、ただ論証の中枢と関節だけを搾取することにしよう。私はその際、反動的な者どもの臆見を打倒することが必要であり、場合によってはこれらの者どもを名指しで罵倒し、糾弾することさえ必要と考えるものである。……中略……

 第一章

 矛盾について

 命題一 すべての真理に対する唯一の絶対的革命的第一原理は存在しない。
 唯一の革命的原理は革命的に単純な命題でなければならない。暗黙のうちに他の多くの命題を含むような命題は、たんにわれわれの目を晦まし、革命的原理を装っているにすぎないのである。ところ命題が単純であるには、その命題は革命的命題であるか、反革命的であるかのいずれかである。……後略……

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