1階食堂では暖簾越しに
  この宿の母子の会話
  締め切るわけでもなく
  開け放たれるわけでもない
  暖簾はこういうものなんだなと思う
  「ボロ」隠しではなく
  良い距離を保つものに感じた
  テレビのニュースが
  ちょっと遠くに感じた毎日
  そのことを話す母子の会話が
  心地よく響いていた
  勝手知ったるとばかりに
  連日の一番風呂は
  実に気持ち良かった
  お客さんはめったに泊まらないという
  三階の「テッペン」は
  天守閣の様に見晴らし抜群
  格子構えに暖簾さげた
  中庭のある家に住みたい
  なんて言い出しそうだった
  しかし、この後の道中で
  いや〜、此れだったよ
  という家に
  出会うのです