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そういうもんだよ。文学者ってそういうもんだよ。

中上健次 そういうもんだよ。文学者ってそういうもんだよ。人に気を遣うというのは、売れてる作家だとか思ったり、自分より本が売れてるとかさ、(笑)。それが気にくわないんだろ。
村上龍 全然、そんなことない。
中上 大変だよな。俺なんかそんなにいっぱい売ろうなんて昔から思ってない。龍は思ってるだろう。「最低十万部以上売れなきゃいかん」とかさ。
村上 そんなこと思ってないよ。
中上 俺は全然思ってない。普通、俺の本ってのは小説だったら最低二万部売れるよな。それで十分だよ。
村上 そりゃ、十分だよ。
中上 そう。俺みたいな難しい本を読むのは。
村上 高級なものを書いてるんだからさ。
中上 むしろ読者を選ぶってことだからさ。
村上 俺だってそうだよ。
中上 おまえ、選んでないじゃないか。
村上 俺、選んでるよ。頭のいいやつしか読んでほしくないもの。(笑)。醜いやつには読んでほしくないもの。
中上 じゃ、「ラッフルズホテル」なんかはどうするんだよ。
村上 「ラッフルズホテル」は結構いいですよ。(笑)難しい小説だよ、あれ。バカにはわかんないよ、絶対。(笑)俺、そんなもの書けないよ、やっぱり。
中上 あれは三十万部くらいいってるんだろ。
村上 うん、三十万部はいってる。
中上 だけど、人のことでもそういうのを聞くのはうれしいんだ、俺。

このホンの解説

なぜだか一部で圧倒的な人気を誇る中上健次とリューズバーの営業免許ももっている我らが龍さんの対談。「ジャズと爆弾」からの印象的なやりとりです

いわゆる「昭和」な中上の先輩風に吹かれたり吹かれなかったりの龍。とにかく中上をとりまく状況は「紙のプロレス」の様相を呈してきます。発行部数の参考にもなる歴史的な資料です

作家とは孤高の存在。自分でも他人でも、作品と名がつけばなぜか辛い点をつけるもの。給水場のOLのように一見和気藹々としていても、いなくなればどうしても批判がちになっていきます。「龍の作ったものはフランス文学のイミテーションだ」by中上「中上さんの紀州の方言みたいなのはつくりもの」by龍など、離れれば離れただけ勝手なことをいうご愛敬も参照されたい

参考文献

「ジャズと爆弾」ってなんか飲み屋の裏メニューみたいですね。

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